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麻疹(はしか)なぜ大人でも予防が必要なのか

掲載日:2023.06.21

本日は麻疹(はしかとも言います)のお話です。
みなさん、日本で麻疹の流行が危惧されている事をご存知ですか?

日本では2007年、2008年にも流行し世界的ニュースになりました。例えば2007年にカナダで日本からの高校生の修学旅行団体に麻疹が発生した時には、宿泊したホテルが封鎖され、帰国の飛行機も拒否される事態になりました。麻しんの発生率がほとんどゼロに近い先進国では、麻しんは大変危険な病気と理解されていますので、ゼロになる努力を続けているのです。そのために麻しん患者が出ること自体、非常事態なのです。日本は世界の先進国では麻しん輸出国の第1位は日本という不名誉なこともいわれてきました。

この原因として日本の大人の麻疹ワクチン接種率は低いという課題があります。この状況を改善し、大人の麻疹に対する理解と対策を進めることが求められています。

麻疹とは:その感染力と影響

麻疹は、非常に感染力の強いウイルスによって引き起こされる感染症で、「廊下ですれ違っただけで感染する」と言われ、空気感染のウイルス中で最強クラスの感染力があります。

みなさんの中では子供がかかる病気というイメージが強いかもしれません。しかし、最近の研究では、大人が麻疹に感染するとその後の健康に大きな影響を及ぼす可能性がわかっています。

麻疹の初期症状には、高熱、鼻水、咳、目の充血などがあり、その後に特徴的な発疹が現れます。大人は特に重い症状を呈することが多く、合併症として肺炎や脳炎を引き起こす可能性もあります。妊娠中の女性が感染しても胎児に先天奇形を生じる確率は低いですが、感染すると妊婦自身も脳炎などに重症化し、流早産しやすくなります。またがん患者さんなど極度に免疫が低下した人にはリスクが高くなります。

最も怖い後遺症:大人が麻疹に感染すると、過去全ての免疫記憶が低下する。

麻疹ウイルスは免疫システムに対して大きな影響を及ぼします。特に、最近の研究では、麻疹に感染した場合、体が過去に防御したことのある他の病原体に対する「免疫の記憶」が失われることが明らかになりました。過去の感染の免疫力も、予防接種の効果も激減し感染に極端に弱くなります。

勉強で言ったら「大人になってから覚えた漢字を全て忘れてしまった!」くらいのインパクトがあります。とても困りますよね。

麻疹の予防接種とその意義

麻疹ウイルスに対する最も効果的な防御手段は予防接種です。麻疹ワクチンは、通常、子供が1歳と2歳の時に2回接種します。しかし、一部の大人、特に麻疹ワクチンを受けていない人や、病歴がない人は、今からでもワクチンを接種することが推奨されています。さらに麻疹は「終生免疫」と言って、ワクチンで免疫を獲得したらほぼ一生予防できます。
ただし、未接種の妊婦は麻疹・風疹ワクチンは受けられません。まわりが接種して妊婦さんを守るしか無いのです。

まとめ

大人に対する麻疹ワクチン接種は、特に以下の点で重要です。

  1. 大人において危険な重症化を防ぎます。
  2. 麻疹感染による「過去の免疫記憶」が失われることを防ぎます。
  3. 大人がワクチン接種を受けることで、妊婦さんやがん患者さんなどを守り、社会全体の安全を守ることができます。

以上のように、麻疹は社会に深刻な影響を及ぼす感染症であり、大人も子どもも予防接種の重要性はますます高まっています。この状況を改善し、麻疹に対する理解と対策を進めるために、ご自宅で母子手帳での麻疹ワクチン接種歴や、親御さんへの確認をお願い致します。

当院では麻疹が心配な方に以下の順で対応をおすすめしています。

  1. 自己抗体の検査(自費4000円)
  2. 自己抗体無し→ワクチン接種(自費5,000円)

麻疹検査に関するおすすめ手順のイラスト

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